平成13年12月 市議会定例会一般質問書
須坂市議会議員  佐 藤 壽三郎

1. 税収の落ち込み予想について。
(1)   来年度における税収の見込みについて

@    市の歳入部分における、市税、地方交付税ならびに諸収入等須坂市が歳入として捉える税収見込みについて具体的に示してください。


A    今後、市が為す諸施策や事業に影響があるのかないのか、具体的に民生費、衛生費、土木費、教育費、あるいは公債の返済等にどのような影響が懸念されるのか示してください。

 につきましては、先の質問者永井光明議員、浅野議員の質問並びに答弁にてその大部分が重複しておりますので、私の質問書の朗読は省略させて頂き、質問に変えさせて頂きます。

 総合体育館建設の争点は、建設時期、規模、建設場所であると思いますが、先の市長の答弁から察するに、財政難のおりから、総合体育館はその規模に関しては、縮小して建築することとした? と解釈してよろしいのですか。

☆本来の通告質問は以下のとおり、

「小泉改革断行内閣のシナリオが粛々と進められております。先日政府が「先行七法人の改革の方向性について」の考え方を示すことにより、聖域なき構造改革に向けての躍動がまさに期待されます。然しながら、その間に失業率が5.4%を超え、来年度は国税の落ち込みが2兆円から2兆5千億円と予想されていますが、これが現実を帯びたときは大変なこととなります。
ある教授は、「現在の日本は供給が需要を上回る状態で、さらに不況でありながら物価が下落する戦後初の状態にある。」と指摘。「終身雇用制が崩れたことで、雇用不安が起こり、消費が落ち込むという悪循環に陥っている。」として、「その解決策には需給を一致させるしかない。」と発言していますが、政治と経済が切っても切れない関係にある証と申せます。

 一方、長野県は、来年度予算編成に向けた「事業の見直し」で、二〇〇二年度から〇五年度にかけて二十一事業を廃止、二十四事業を縮小する方針を打ち出しました。来年度は、高齢者の「介護慰労金」給付事業や「信州青年洋上セミナー」など十五事業を廃止、ふるさと農道事業や私立高校への経常費補助金など二十三事業を縮小対象に挙げ、廃止分の予算額は本年度ベースで七億九千万円になるとのことです。市が国や県と連結している税収体系である以上、須坂市だけは税の落ち込みは無しということは考えられません。国の財源状況の窮地を救うための市町村合併の推進、総合体育館の建設、介護保険制度の是正、国民健康保険税基金の危機に伴う対応策、中心市街地の衰退防止問題、ブックセンター誘致の未解決等の問題が山積するなかで、解決には何れも財源の確保が必要であることは申すまでもありません。

 ところで、市が市民の全ての要求を行政サービスとして安請け合いをする時代は去ったと思います。私がことある毎に訴える、我々が小さな国家、小さな行政庁を標榜することは、反面、行政サービスの足切りを意味します。昨今の経済の萎縮や落ち込みは、即座に国や須坂の税収の減収に直接関わりを持つ大問題であり、天井知らずの行政サービスの提供は、場合によっては我々子孫が大きなお荷物を抱えることとなります。打ちでの小槌と思っていた国が地方債を含めて666兆円の赤字を抱え、これとて子々孫々に至るまでこのことの解決策を避けて政治は出来ない時期に来ていると思われます。財源が乏しい中で果たして、本年度同様の規模の予算が組めるのか関心の集まるところです。

そこで、お伺いします。

(1)来年度における税収の見込みについて

B    市の歳入部分における、市税、地方交付税ならびに諸収入等須坂市が歳入として捉える税収見込みについて具体的に示してください。

C    今後、市が為す諸施策や事業に影響があるのかないのか、具体的に民生費、衛生費、土木費、教育費、あるいは公債の返済等にどのような影響が懸念されるのか示してください。」

2.国民健康保険税の税収見込みと課題について。

 わが国は、「国民皆保険」といって、誰でもが何らかの健康保険に加入することが前提となっていますが、今この制度自身が崩壊の危機を迎えていると感じます。
 国民の凡そ4700万人が国民健康保険、3200万人が組合健康保険、凡そ3700万人が政府管掌健康保険に加入しており、あとの人たちは船員保険等の健康保険に入ってします。国民健康保険は、3235億円の赤字、共済組合は1990億円の赤字、政府管掌保険は3160億円の赤字で、健康保険全体では、約1兆5000億円の赤字であるとのことであります。医療保険制度とは、すなわち医療費は患者負担+保険料+公費で賄われていますが、医療費に対して年間1兆円の不足が生じているとのことであります。


 厚生労働省はこの5日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に、個人経営の診療所(開業医)や病院などの経営状況を調べた医療経済実態調査(速報)を報告しました。それによりますと、「今年6月の開業医の平均月収(医業収入から医業費用を差し引いた額)は248万8000円。2年前の前回調査より5%増えており、診療報酬の引き下げを求める声がある。」とし、さらに「同時に公表した今年9月時点の薬価調査によると、薬の公定価格と市場価格の差(薬価差)は7.1%であり、この薬価差は医療機関の収入になっており、政府は医療費抑制のために薬価差解消を目指しているとのことであります。
 民間病院の一施設当たりの月間収益は525万4000円で、2年前に比べ19.1%増えた。11月末に政府・与党がまとめた医療制度改革大綱では、来年度の診療報酬(薬価を含む)について「引き下げの方向で検討し、措置する」と明記され、政府は2%台後半の下げを目指しているようです。一方、日本医師会は医師の技術料などの診療報酬本体については「据え置き」を主張、薬価や医療材料の引き下げにとどめるよう求めている。」のが現状です。



ところで、国保は国民が他の保険を脱退した場合の最後の止まり木的機能をする制度であることからすれば、原則は勤務していない人を対象とする制度である以上、失業者は自動的に国保に加入する事実を理解しなければなりません。健全な国民健康保険加入者にとっては、不良債権を次々に引き受けるようなものであり、極めて不公平な保険制度とも思えます。保険料の支払い能力がない人を事務的に区分して、国保に加入させること自体がおかしいと思います。 制度が施行されて僅か2年で医療費が問題となることや俄かに国保に余裕がないのはなぜか。高額医療費を要する疾病が多いのか否か。診療報酬の申請に不正はないのか。デフレや不況で公務員(議員を含む)が一律所得をカットされていることとは裏腹に、診療報酬等のダウンは聞えてこない。大きな負担である老人保健の区別が必要なのか否か等の課題や問題にメスをいれるべきだと考えます。余りにも大きな問題だから国任せではなく、市民に最も身近な問題として、国に疑義を唱える、提案することが必要と思います。
 これらの視野に立って須坂市がこのたび国民健康保険税を値上げする経緯を伺いたいと思います。

3.河川の改修について
(1)   百々川の河床の砂利堆積に伴う洪水の危険性について

(2)   百々川の側川、通称古川の河床改修について 

あの忌まわしい56災害から20年が経ちました。当時須坂の河川災害により整備をされたはずですが、やはり川は生きており最近極めて河川の土砂の堆積の危険と感じます。大雨が一度襲った場合に、百々川を挟んだ境沢、高梨、村山、日野地籍、あるいは九反田地籍が甚大な被害に遭うことが心配されます。

 百々川に於いては、市川橋、河東線鉄橋、百々川橋の間の河床が砂利の堆積が著しく、もはや天井川とも思えます。また百々川から万一溢れた濁流を吸収すべき機能をもつ古川も、境沢町のストックヤード付近から布田橋に至っては河床に土砂が堆積した現象が顕著であります。渇水期である今のうちに何らの施策が必要と思われますが、実施計画等をお示しください。


4. 国内の企業の空洞化による経済の落ち込み救済策について。
 加工貿易を生業にしていた日本が、原産国アメリカの真似をして大いに経済立国として気を吐きましたが、一握りの経営者は生き残れても、大方の労働者はリストラという大儀名分の名のもとに解雇されているのが現実であります。巷には失業者が溢れ、特に30代40代の世代は、一家の大黒柱であるは当然ですが、さらに大方の世帯が住宅ローンを抱えている現実を思うとき心が重くなります。


  経済誌は、中国にそう遠くない将来、製造大国の名を中国が日本から奪う。一方、2005年には日本は貿易赤字に転落すると伝えております。NHKの解説番組は11月27日、『産業空洞化防止策として』、1.技術開発の推進、2.派遣労働者雇用の規制緩和をあげ、さらに財政の確保から連結納税制度導入をと唱えておりましたが、長期計画では国民は癒されません。問題は今日のパンであります。市内の企業も必死に何とかしてこの不況を乗り切ろうと、労使一体となって取り組んでいることを知るに、市ができる手助けは、何でもする位の積極的介入が必要と思います。現在行われている、利子補給施策よりさらに一歩踏み出した施策が必要にも思えます。そこで 

(1)市内の企業への波及についての対応策について。
(2)市が国・県と連携して行う救済案について。
(3)市が単独で行える救済案を具体的に示してください。

                                                      
5. 中心市街地活性化問題について
 (1) TMOによる中心市街地商店街の衰退の歯止め策について

 この項目につきましては、浅野議員の質問並びに答弁で満たしましたので、質問の取り下げをします。

 (2) 福祉イベント「ふれあい広場」にみる人集めと商店街の関わりについて。

こんなに須坂に人がいたのかと思うほど、11月4日に開催された福祉イベント「ふれあい広場」は盛況でした。やはり企画力が人を集めることができるかと感じました。市は福祉イベント「ふれあい広場」の集客力を借りて、市街地の商店街の復興を図るべきです。「ふれあい広場」を年に複数回開催する手助けをし、もって中心市街地商店街の衰退を阻止すべきと思いますがいかがですか。



 (3)中心市街地を訪れる観光バスが、容易に駐車できる大型駐車場の設置について。

商店街の経営者は、郊外の人が市内に買い物に来ていただく、あるいは観光客が須坂を訪れた場合に、須坂の街中を散策しショッピングして頂くには、バスや車が留れる大型の駐車場が本町通りあるいは広小路付近にあればなぁとの切実な要望であります。ちまちました駐車場を造るのではなく、半日でも一日でもそこに車を捨てておいても、「須坂市は駐車場が只だから遊べる。」街にしない限り商店街の復興はありません。場合によって中心市街地の土地と井上のブックセンター用地の交換を図り、中心市街地に無料な駐車場を設置することも選択肢として考えることは如何ですか。


 (4)市民が須坂で買い物をする。忘年会も地元で催すことによって、市街地が活性化することを、市民へ協力呼びかけすることについて。

時は師走本来なれば街は忘年会で浮れた気分の人たちが、練り歩く時節であるにも関わらず、繁華街の居酒屋やスナックも閑散としております。第一通りに人が歩いておりません。不況が不況を呼ぶ由縁です。そこで、市民がたとえ1円でも須坂に落とす気構えと、買い物や忘年会等を須坂で催してもらう呼び水に、市職員と議員が一役買うことが必要と思います。市関係の忘年会や新年会は須らく、市内で執り行い街を賑やかす。これがいま一番必要なことと思いますが、如何ですか。


6. 職員の管理体制について

 市長、議員、市職員は、市民五万五千全体の奉仕者であることは、敢えて強調しなくても誰しもが認識するところです。

 とりわけ選挙という行為を経て、市民から選ばれて今茲で喋るを許される議員として述べるならば、市職員は、入庁以来様々の研修等を経る中で、育て上げられた、須坂市民の血税がかかっているものであり、時間と元手がかかっている須坂の人的財産でもあります。あたら失うことは大きな須坂の損失であります。持ちうる能力を市民に提供してもらう。あるいは奉仕して頂く。このことで市民との関係はdrawにたつわけであります。そう言う意味で職員の不慮の死を、何とか救えなかったかと思うと残念でたまりません。市民のために全力を注いでもらう。このためには職場の環境を整えなくてはなりません。そこでこれらを実現するために


(1)  心身の管理等における市の責任について
(2)  職員の健康管理の具体策についてお示しください。

7.住環境問題について

(1)  商店街が不況で街灯の点灯の差し控えによる、市街地の夜道の暗さと防犯灯、街灯の設置について

(2)  市街地付近の言わば郊外の町区における防犯灯の増設計画について

商店街が繁盛しているころは、店の灯りが外に漏れ夜道も暗くありませんでしたが、不況に加え売上も侭なら昨今、商店街も早閉めをするようになり、旧市街地の小路は夜道が暗くて、ご婦人には大変防犯面からも不安である訴えがあります。また、郊外の町区も家並みが連たんした部分には街灯がありますが、途切れた部分に街灯がなく不安だとの要望が市民より寄せられております。「夜中でも安心して歩ける。」と治安の良さが売り込みであった日本も、事情が大分違うようであります。早急な対策が必要かと思いますが、ご所見をお聞かせください。



(3)   市街化区域における悪臭ならびに異臭に絡む苦情処理について

 平成12年12月議会で小職が訴えました「悪臭」等につきましては、市の積極的なパトロールや行政指導にも関わらす、未だにすっきりした解決がなされておりません。用途区域の問題と大気汚染との絡みがあると思われますが、市民の健康管理の見地からしても、最大限の施策が大切かと思われます。総合的な施策の取組みをお示しください。


8.町村合併について

 昨今、市町村合併が高山村あるいは商工会議所から積極的に提案されております。上高井郡という歴史的関わりからすれば、一番身近な町村であります。50歳以上の市民が耳の中には、「上高井郡須坂町」の余韻が残っているはずです。我々の共通のネームバリューは「上高井」であります。しかし、永い政治のいわば統治という面からみると、郡は邦と言うよりユナイテトという「結合した」感覚で地方行政区画であると思います。

そこで合併の是非について述べますと、行政経営の専門である上山信一教授は、専門の視点から、市町村合併の議論の持ち出し方、進め方自体が間違っており、まずは白紙に戻すべきと記しています。理由として第1,組織同士の「丸ごと合併」という単純な手法に全面的な期待を寄せるという経営感覚に不安を感じる。第2.大した成果が見込めない割りに、合併に至る現場の苦労と苦痛が大き過ぎる。第3.そもそも国や県が市町村に『合併』という定食メニューを全国一律に押し付ける上意下達の改革手法が民主主義と住民自治の原則から逸脱しているとし、いま国がなさねばならないのは、「市町村の合併」ではなく、「中央政府」の財源、税源の自治体への移管であり、過剰な国の規制・関与の見直しである。国や県こそ自らの存在の是非を見直すべしと言われています。全く同感であります。私は市議会議員として先ず五万五千須坂市民の利益を最優先に考えなければなりません。須坂を主軸にした町村との合併のメリットとデメリットを天秤にかける。須坂のメリットがなければ合併は拒否する。でなければ須坂は須坂の魂を売ることとなる。これは市議会議員が市民への先見性として問われる部分であります。

市議会議員は市民益を護るために、須坂の不利益は断固、国であろうと物申す。これが地方議員の使命と心得ます。流行に煽られてはなりません。地方分権が定着するまでには群雄割拠の時代を経ねばならないことは歴史が示すとおりであります。現代は戦国時代と違い、武力を用いない平和的手段で、「対等合併」が平然と唱えられておりますが、信玄公や兼信公はさぞかしあの世で、足掛け11年も川中島で、血で血を洗う戦いをしたのか、嘆いていると思います。須坂市と言う地籍に、五万五千の市民が居る。市長が居て議会がある。これを単に日本国を中央集権国家の形成のための統治区割手段として、全国を1,000規模の地方自治体に作り変えようとし、一方で地方分権を唱える。独裁と民主主義を一時に布く政策の市町村合併論には、敢えて慎重にと提言しますが、ご所見をお聞かせください。