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1). |
視察のテーマ: |
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T. |
観光業・商業振興に係る大津商工会議所の取組みについて。 |
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2). |
視察の評価 |
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ア) |
視察日・視察時間:1月21日午前13時30分から概ね1時間30分
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イ) |
視察場所:大津商工会議所会議室
〇説明員の表示:大津商工会議所 専務理事 村田 省三 氏
: 同 総務部長 内田 裕 氏
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ウ) |
研修内容:
〇北陸新幹線延伸に伴う観光業・商業振興に係る大津商工会議所の取組
みについて。
琵琶湖を囲むように位置する大津市はL字形をした大都市であった。何故ならば、JRの駅は17も存在する。更に大津市には3つの商工会議所が存在するからである。北陸新幹線は第一次視察の報告書で示したとおり、福井県敦賀駅から新大阪駅に向けて3ルートが取り沙汰されている。その内米原ルートと湖西ルートは、大局的にみれば滋賀県内を通過するものである。このこともあってか大津市は地勢的見地からしても、東海道新幹線は米原⇔京都間は在来線に並行して走っている。東海道本線の彦根、栗東、草津そして大津の各駅はあるが、東海道新幹線の駅は存しない。大津市は京都駅に近すぎて、北陸新幹線に関しては、新駅の設置は難しいと諦めている節があるが、京都駅と大津間は東海道線と湖西線の便がすこぶる良く、更に京都駅より左程遠くない地理的関係が寧ろ災いしている。
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U. |
北陸新幹線に期待される東海道新幹線の代替補完機能の現実性についての地勢的確認調査について。 |
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今行政視察3日目に我々は敦賀駅から湖西線ルートで京都駅まで踏破
してみて、湖西線ルートの弱点は自然現象にあることが分かった。湖西の北部は地形の関係で若狭湾からの強風が「比良おろし」として吹き荒れるらしい。大津市八屋戸にあるJR蓬?駅の風速計が強風が吹いて「停止」の基準値に達すると、JR湖西線の堅田―近江今津駅間で上下線とも運転を見合わせ、電車が運休することが年に数日あるとのことである。現代の土木技術や鉄道工学からすればクリアできると思われるが、やはり京都駅にて超過密な東海道新幹線に相互乗り入れすることが、米原ルートと同様の課題を抱えるのかなと感じる。
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V. |
視察地における、北陸新幹線延伸を睨んだ広域観光並びに商業振興策の
取組みについて。 |
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大津商工会議所としては、東海道新幹線延伸を睨んだ広域観光並びに商業振興策の取組みは企画していない。寧ろ、京都、大津京等の平安時代からの文化遺産を守りながら、古都を訪れる観光客を如何に京都・山科から一山超えた琵琶湖湖畔に呼び寄せるに力を注いでいる。琵琶湖疏水を遊船で巡る計画も浮上しているとのことであった。京都周辺には5千万人もの観光客が訪れる。この数字に満足はされていないようであるが、京都⇔大津間の交通の利便性は十分に図られていて、公共交通機関で旅めぐりをする者にとっても十分であるように思われる。
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エ) |
研修のまとめ:
◇大津市は京都市と観光については、表裏一体の関係にある。京都市は盆地に開けた御所を中核に開けた町であるが、大津市は平成の合併により面積が拡大したが、大津市管内図(大津資料編P7)をしても琵琶湖の湖西に沿った町形成である。
古都巡礼に代表される大津市は、小学校、中学、高校時代の修学旅行によって知名度が刷り込まれており、定年を迎えた熟年が再度のノスタルジアを覚えるに格好の地であり、新たなる奇抜な観光は寧ろそれらを妨げるものとなろうかと危惧する。
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オ) |
視察から感じた須坂市の課題: |
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◇大津市には東海道新幹線で直接下車することではなく、須坂から一旦
京都駅に出て、引き返す形となる。京都駅から野洲行の快速電車にのって、山科更にトンネルを越えるとそこが大津駅であった。地図で確かめると東海道線は大津からトンネルを潜って山科、湖西線は大津京からトンネルを潜って山科と、主要幹線が山科で合流することが分かった。京都駅と大津駅は電車で僅か9分でしかない。
◇市町村が各々わが町にのみ観光客の誘致を図る時代ではないことは第一次報告書に記載したとおりである。最早観光戦略はゾーンとして捉え、他市町村との連携の下に周遊型の観光客の呼込みが効を奏するものと確信する。大津市と京都市は琵琶湖疏水を遊船で行き来させる計画があるようであるが、このことは将に京都府と滋賀県、さらには京都市と大津市の行政区分を超えて観光を取組もうとする表われであると評価する。
◇須坂市の課題は、新幹線長野駅で降車した観光客を、如何に須坂に誘導するかであるが、歴史的古刹は須坂市にも多数ある。歴史的年代、鎌倉、室町、戦国時代、織豊時代、江戸時代別に分けた歴史の整理と、甲信越に跨る壮大な国盗り合戦を繰り広げた武田信玄と上杉謙信に関わる神社・仏閣への旅巡りに旅人は共鳴することを鑑みるとき、我々は平安時代からの文化遺産を観光の目玉にする京都、大津に歴史を学び、須坂市は北陸線延伸のこのチャンスを逃がしてはならないと感じた。
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