深川探索



 大学1,2年生の時は、叔母が深川に居たこともありましたが、休日は深川に行き、掘割や橋、地名に江戸時代の名残を留めているのが堪らなく良くて、この見知らぬ街を歩いたものです。

 見知らぬ街を歩くことは、求めた新刊のページを捲るのと同じで、街角を曲がるたびに生まれて初めての景色に感動を覚えました。況してや、その街が小説の舞台になっている街であれば尚更でした。ふと路地から勝小吉と麟太郎親子が出てくるような錯覚があるのが本所や深川でした。

 後年になって萩を旅しました。長州の萩の町は、深川同様に江戸時代の風情がそのまま残っている街ですが、萩を歩いているときに、やはり同じ錯覚に陥りました。高杉晋作が路地からひょっこり出てきそうな感じが萩にはあります。

 休日には、お金のかからない小旅行をすべきです。毎日乗る私鉄を逆方向に終点まで乗って見るとか。近隣の銭湯をくまなく入ってみるとかして、その町を知ることが後年きっと財産になります。

2005/03/05 (土)