美空ひばりの偉大さ


 NHKBSは美空ひばり特集を行っているようです。美空ひばりは国民的歌手であることに、私は些かも異存がありません。寧ろ国民栄誉賞を出来れば彼女が生存中に与えてあげるべきであったと思っています。

 美空ひばりの素晴らしいのは、彼女は自分の持ち歌を大切にしていることです。兎角、歌手は自分の持ち歌を永年唄っているうちに、「崩した唄い方」をしてしまうものである。

 然し、美空ひばりは違う!十代のときに唄った歌も、二十歳のときに唄った歌の節回しに「崩れ」がない。このことこそが、私は美空ひばりの偉大さであると気づきました。皆さんも、一度美空ひばりの歌を聴き比べてみれば、きっとこのことについて合点が行かれると思います。

 私は少なくとも2回は、美空ひばりの生の舞台を観ています。信州はこの須坂に美空ひばりが「地方公演」を行ったからです。当時はテープを舞台の歌手に投げるのが流行していましたが、テープはまるでマイクの前で塊になっていたことを思い出します。

 少年時代の誇りは、当代一の歌手「美空ひばりの舞台」を須坂劇場(映劇)で行われた公演を終えた後に、観客が誰ひとり居なくなった客席の通路で、楽団の人々と少年である私が話していると、正面の舞台から「美空ひばり」が宿泊旅館に向かうために降りて来た折に、この楽団員の話に彼女が加わりました。目の前で「美空ひばり」を拝見しました。彼女は立ち去る前に少年の私にクリームパンをくれました。これこそが一生の宝です。

 須坂劇場は、私の生れ在所である泉小路界隈にあった誇れる大衆劇場です。この庶民の劇場に当代一の歌手である美空ひばりが公演に来ていることが須坂の泉小路界隈の自慢でした。彼女の持ち歌で私の好きな歌は「津軽のふるさと」ですが、これぞ天下一品、様々な歌手がカバーしますが聞く耳を持ちません


2007/06/24 (日)