青春の追憶

夢でしか会えない友がき


 在京同級生6人で創った「奈仁己以而留会」(なにこいてる会:須坂方言で、なに生意気なことを言ってるんだの意)のメンバーが久しぶりに集まってきた。6人は何れも大志を抱いて故郷を後にして上京した仲間である・・・

 洋君は、変わらずにぎやかで、集まると一人で喋りまくる
 和ちゃんは、小さい時からやんちゃであったが今でもやんちゃだ
 哲ちゃんは、意志の強い人である故に無口。相変わらずしゃしゃりでないがしっかり仲間だ
 勝君はひょうきんもので通っていたが、今でもひょうきんさは健在でみんなを笑わす
 徹ちゃんは、クラス一の負けず嫌い。この粘りと努力が大学進学で見事に開花した。彼は我々の自慢の一つ。遅れて来たが、悪びれず笑顔で手を挙げて輪に入る。
気のおけない仲間の全員集合だ。

さて、今夜はどこに飲みに行くかと座頭の僕が提案する
とりあえず街にでようやと全員で銀座の街に繰り出した。
銀座の鋪道の石畳になれて久しい・・・
はてなと周りを見渡すと
銀座に居るはずが・・・
いつのまにか郷里の路地を歩いているではないか
石畳は砂利道に変わっている・・・

誰かが直江津海岸に行ってみないかと切り出す・・・・
直江津海岸は小学校時代の遠足で行ったところ
行こう!行こう!ということになり
早速全員で電車に乗り込む・・・
露地から駅舎にワープする・・・

愉快な仲間たちはどこまでも意気投合だ・・・
電車が走り出した・・・
田舎のこげ茶色の電車ではなく垢抜けした都会の電車でないか
仲間は車内ででんでに近況を語り合う
都会と田舎が混在する同級会だ!


ふと目が覚めた。
何と夢の中の同級会だった!
今は夢の中でしか開くことしかできない同級会だ
勝君は亡くなって久しい・・・
夢でしか会えない友がきが黄泉から参加しての同級会だ
同級生の絆は生死の事実を超えるものだ
僕が生きている限りみつづける夢であるが
分かっていても分かっていても・・・
不覚にも涙がこぼれおちて涙が流れて枕を濡らす
今では夢でしか会えない勝君に
友がきに涙した

友はいいもんだ、つくづく友はいいもんだ・・・
已矣哉、已矣哉


【追記】平成25年2月5日付
生き残っている5人は、平成26年1月25日、須坂市が主催する「ふるさと信州須坂のつどい」の機会をえて、東京千代田区の都市センターホテルの会場にて再会することが出来た。5人が揃うのは勝君の通夜以来であった・・・
しかし、我々が生きている限りこの集まりには、勝君も屹度参加しているとみんながそう信じている。
友がきとはかくありなんもの。


2013/12/26記す。