地震はもの言わぬ破壊者 |
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地震は非情なものである。今まで住んでいた建物を容赦なく破壊させてしまう。 建物は、雨露を凌ぐ、暑さ寒さから身を護る言わば「建物」(house)だけの機能面の捉えだけでなく、家族の思い出が積もった掛け替えのない拠り所であり、地縁、血縁の源であり、心を癒しをしてくれる揺り篭でもある。「at home」の意味からしても、家の価値は洋の東西を問わない。 予告なく襲った新潟県中越沖地震で、我家も容赦なく揺れた。家自体が篩(ふるい)にかけられたような感覚に見舞われた。事実、建物が右左に揺れる様を目撃して、「若しや、倒壊するのでは?」の恐怖が走った。16日の地震で震度6がこの須坂にみまわれたら、我家はひとたまりもなく倒壊しただろう。 今朝のTVを観ていたら、被災地で建物の危険度調査員の「危険だから立ち入らないように」と判定を告げられた老女が、瞼を何遍も拭いていた。この老女の張り詰めた気持ちを私は痛いほど分かる。 思えば、私の半生で経験した大地震は(松代群発地震と東京で生活していた10年を除く)新潟に繋がる。高校時代の新潟地震、3年前の新潟中越地震、今回の新潟県中越沖地震である。 何れも天地がうねってゆれ、建物は限界まで振動に耐えて、電信柱は電線によって辛うじて立っている有様。今回の地震で建物被害は1672棟(新潟県:1531棟。長野県:141棟)に及ぶとNHKは調査結果を報じている。洵に痛ましい限りである。 地震はもの言わぬ破壊者である。瞬時に広範囲のあらゆるものを破壊し、人命をも奪う。地震の被害は何と戦争の惨禍に似ていないか?戦争は人による破壊行為であることがこのことからも分かる。破壊に関しては地震も戦争も同じと言える。 人間は、自然の脅威には敵わないことを肝に銘じなければ、地震のたびに大切なものを失うこととなる。 |
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2007/07/18 (水) |