分権時代における市議会の権能

                      市議会議員 佐 藤 壽三郎


 辻山幸宣先生は「地方自治学」の第一人者であられます。
 中央大学法学部の教授を経て、現在は地方自治総合研究所の主任研究員を務められておいでです。

 須坂市議会は、昨年の議員研修会にお招きして直接教えを乞いました。私は市議になってから、辻山先生の講演を聴講するために、仲間の議員と諏訪まで出かけたり、先生の著書もかなり読ませて頂いております。

 さて、辻山先生が全国市議会旬報第1596号(全国の市議会議員が読む地方自治情報紙)に「地方分権時代における市議会のあり方」として寄稿されましたが、内容は私が日頃発言している「佐藤壽三郎地方自治論」と重なるところが多々見受けられますが、「地方議会は危機」である認識は全く同一であります。

 辻山教授の「地方議会の権能の再認識」とも思える論文の概略を、以下に掲載することとします。

 【 議会基本条例 】を制定すべき!

 辻山先生は「一日も早く議会基本条例」を制定すべきとされて、「地域の民主主義を代表する議員の定数が減り、代表率が低下している。これで本当に多様な意見を調整していくことが可能かという危機感がある〜中略〜現実問題として、議員自身の力で定数を増やすことができる情勢にはない〜中略〜議員定数が削減されていくなかで、一体、少数者の意見はだれが代表するのであろうか。

 そのうち市町村長が指名する相談員やオンブズマンのような人たちが少数者の声を吸収し、それを条例化して、議会に同意を求めるような構造が定着していくことを危惧している」とされ、「議会は市長の提案にうなずくだけの機関だったのか」と議会の怠慢さを指摘されています。

 更に、「提案された議案が今の要請に応えているかどうかを吟味して、議員として果敢に質問を為し場合によっては修正を求める態度が必要である」と指摘されている。

 本日、開かれた須坂市定数等検討委員会では、辻山先生の論文をテキストにして、「これからの須坂市議会のありかた」について、私見を陳べ合いましたが、すっきりと「これだ!」とまとめることは適いませんでしたが、ものの考え方を強制的に一本にしないことが大切であると思います。



平成17年11月7日記す。