江戸しぐさ


 今日、車中のラヂオから大変すばらしいことばが流れて来ましたので、忘れないうちに茲にしたためます。
 「江戸しぐさ」という言葉です。しぐさは作法に通ずるかとは私の独断解釈ですが、「江戸しぐさ」とは、例えば雨の日に細い道を行き交うとき、傘が邪魔になる。そんなときは、どちらも言われるまでも無く、傘を傾げて行き交うことととか、或は、傘を倒し自ら他人が通り過ぎるまで、濡れて立っている。男らしさ!女らしさ? そういえば、唐傘の時代にはこのようなことは当たり前でした。
 人様の前を横切るときは、会釈をして前を通して頂くしぐさ等を指すのだそうです。

 力士が、土俵下の控えに入るとき、審判(親方)の前を、手を切ってから横切る様は、将に「江戸しぐさ」なんでしょう。江戸時代に江戸の力士が全国あちらこちらに巡業に出かけて、さりげない仕草が、地方の人には受けたのでしょう。
 
 相手を思いやる心や、謙遜、或は敬いがこの「江戸しぐさ」い含まれていることを思うとき、「心のゆとり」かなとも思えるし、和服が醸し出す「粋」な世界かもしれませんな。幼い日の下駄や爪皮のついた高下駄、白足袋が連想されます。
2003/07/30 (水)