平成22年(2010年)12月13日
 
選ぶ人 選ばれる人

                               
須坂市議会議員 佐 藤 壽三郎


 北信の古都・飯山市の市議選があす告示される。私が常々指摘するように、議会に二十代、三十代の青年による議員のなり手が飯山市もないらしい。市町村議員になることは、大方の勤め人は職を辞して出馬することとなる。即ち議員報酬以外の収入が断たれるのである。自営業者はその点楽なように思われるが、議員になってから議員活動に没頭すると、当然のことながら営業収入が年々減収に陥る。議員になっても商売が繁盛するとすれば、片手間な議員をしているか、女房や子どもに商売を任せても足る業種といえる。しかも4年後に落選でもした場合は、その日から無職となる極めてリスクを負う人生の選択を、子育てや高校・大学の進学時期と重なる青年にとっては、勤め先を辞すことはどうしても二の足を踏まざるをえないだろう。私自身行政書士資格が大きな経済的支えとして活用できたこともあるが、子育て時期に議員を務めたことを思い返しても痛いほど心情は判る。

 某現職市議会議員が「厚生年金を受け取っているから、市議を続けられる」と語るように、議員報酬以外に収入がなければ、議員報酬だけでは生活できない。おのずと地方議員は片手間か、高齢者でなければ務まらないものとなっているのが現実である。こども時代に憧れた議員になる夢を、青年が貫きとおせる社会土壌を培いたいものである。

 堀田力氏(さわやか福祉財団理事長、弁護士)は、平成22年11月1日付信濃毎日新聞の「月曜評論」において、「政治家は政策で選びたい」とし、「政党プラス人柄で選んでいた方法が、政党は一つの政党の中に大幅に異なる思想傾向の議員たちが混在しているから、政党の選択は政策の選択にならない」と指摘される。

 更に「私たちは何を基準に政治家を選べはよいのか」として、「具体的な政策がわからずに選ぶとなると、その候補者の価値観の傾向で選ぶしかない」とされ、「価値観を区分する基準として、『自助』『共助』そして『公助』を上げられている。そしてこれら三つの区分に純化する政策はありえないとされる。詰まるところ「政治家を選ぶ時は、自分の生き方あるいは考え方に似た重点の置き方や混在比率の人を選ぶ方法だ」と結ばれている。


 選ぶ有権者と選ばれる立候補者には、夫々に思惑と夢がある。郷里の発展と住民の安心・安全の日々の生活を願っての思いと議員に期待する思惑は、都会と違って地方の市町村選挙になればななるほど、堀田氏の言われる混在率は濃くなる。しかし明確な理由のない「しがらみ」や「地縁」の拘束や威圧にはきっぱり拒否する姿勢が選ぶ市民に求められている時代でもある。