共存の中の住み分け

 里も本格的に冬将軍の到来の気配です。根子岳の稜線が真っ白に変わりつつあります。厳冬に向かうときの白銀は厳しい白色であります。いわば雪女が出現するような白さであり、里から見ていても妖気が感じられます。

 イノシシやカモシカそれから猿が里に下りてきて、田畑を荒らしまわることは、人間との共有エリアを打ち破り、足を踏み入れてはいけないエリアに侵入したことで、捕らえられたり、打ち殺されたりとさんざんであるけれど、人間が自然界の頂点に君臨することを、イノシシたちが認知したかというと、決してそうではないように思えます。
 日本では、かって「狼」が、韓国では「虎」アフリカでは「ライオン」が自然界の頂点に今でも居座ることは事実であります。それも考えてみると、肉食動物であります。

 大昔、人間と獣はもっと激しく対抗していたと思われるし、人間の懲らしめの長い歴史のなかで、獣たちには「人間は怖いもの」として、怖れられた位置関係が多分できたのであろうと思います。この関係が崩れた現代、イノシシが餌を求めて北上し、カモシカや猿が人里を襲うこととなる。これらは、人間を襲わない、肉食動物ではないために、人間から根こそぎ危険だからと殺戮されることが無かった分、或は悲劇となりつつあるのかもしれない。

 マタギという狩人が果たした社会での役割を、つくづくと昨今感じます。それは、猟をとおして自然界に律した人間と動物たちとの「共存の中の住み分け」の番人ではなかったろうかと・・・・・
2003/12/05 (金)