深夜放送はほろ苦い


 小中高の音楽の時間に、学んだ唱歌は果たしてどのくらいの曲にのぼるであろうか。然し、不思議なものであり、歳を追うごとに心に深く入り込み心を癒してくれる。当時、これほどまでに将来わが身に影響を及ぼすことを想像しえたであろうか。そこが音楽の摩訶不思議なところかもしれない。

 音楽は聴く人にとって様々の思い出に繋がる。昨今NHKのラジオ深夜便なる番組が、実は隠れた人気があるが、過ぎし日の思い出が恰も走馬灯のように、ありありと情景が浮かぶからかもしれない。唄は思い出を誘い、思い出はその人の人生そのものの証しである。辛難甘苦もあればほろ苦い思い出もあろうが、それはそれなりのものである。

 故郷を離れて、上京してから僕は余計にラジオにはまる。学生時代に民放の深夜放送(当時NHKは午前零時で放送は終了)が友だちであった。ジェットストリームを聴いたあと、パックインミュージックに移る。鶴光のオールナイトニッポンも楽しかった。時代を共有した証しかもしれない。当時のパーソナリティである「なっちゃん、ちゃこちゃん」は今どうしているかな。

 おっと、辺りが明るくなってきて、雀が囀り、街が目を覚ましたようだ。

2003/07/02 (水)