出席者の多い同級会


「やあやあお久しぶり」
「おかげさんで元気でいました」
「どう実家の皆さんは」
「うん、みんな元気だよ」
「それはよかった」
「おぉ久しぶりだな」
「あぁ逢いたかったぞ」

 大広間に同級生が同級会開催時刻に合わせて集まって来た。
 哲ちゃん、ジロちゃん、長坊に俊治君
 節ちゃん、歌ちゃん、弘ちゃん、幸ちゃん、栄ちゃんも来たようだ。
 みんながお互いの近況を楽しげに語りあっている。

私はなぜか座敷で横になっている。行儀がこのうえなく悪い私に・・・
「どうしたの。どこか具合でも悪いの・・・」と和子さんが覗き込んで来た。
「何でもないよ。大丈夫だよ」と私。
「ならいいけど・・・」
同級生を思いやる心根に心和らぐ。会場がどこで、季節がいつであるのかわからないが、今回の同級会は、政行君や静子ちゃんも勝君も出席している。いつもより出席者の多い同級会である。

 うっ? 政行君や静子ちゃんと勝君は黄泉の客のはずではないか?哲ちゃん、ジロちゃん、長坊に俊治君も・・・
と気づいたときだった。同級生の会話は途絶え座敷は一瞬に真っ暗になって、私は夢から覚めた。

 目を開けて真っ暗な部屋の天井の一点を見つめている・・・。
今は夢でしか逢えなくなってしまった政行君や静子ちゃん、勝君が夢枕に立つ。
遠い黄泉より不肖な私を勇気づけに駆けつけてくれたかと思うと涙が溢れて止まらない。

 同級生とは、出生時期を同じくし、通学区域に共生する学校の中の更に学級にくびられた集団であること。学校行事を共にし一喜一憂を共有した仲間であることの偶然性が織りなす邂逅であり人間模様と言える。只一つ叶えられないのは寿命という時間的長さである。これだけは如何ともし難い。然し、この邂逅こそが人間社会では宝ではないか。生涯の友の価値は書きつくせない。私が生きている限り、現世に残りし友も、逝きし友も友垣として共に時を過ごすものであると感じる。

 出席者の多い同級会の次回は未定で、会場も又定かでない・・・


2013/1/15記す。