地方都市を取り巻く問題について(寄稿)

不動産会社経営  矢 崎 智 義 (茅野市)


 ご熱心な活動,高邁な志、議会民主主義に対する見識等々、常々感心をし拝見しておりますし、そのことについては、感心こそすれ、何も申し上げることはありません。

 須坂の固有のことについては、当然よく分からないのですが、地方都市を取り巻く問題については,共通出来る部分があり、意見を言える部分があろうかと思います。参考になるかどうか分かりませんが、考えていることを一言書かせていただきます。

 須坂市の人口は、2月1日現在、52,470人です。平成10年の54833人をピークに減少してきています。220人/年のペースです。(統計添付します。)
茅野市の人口はこの2月1日現在で55,956人です。須坂より,多少多い人口です。今まで、須坂はこの人口になったことはありません。茅野市は平成6年の時点で須坂のピーク時の人口でした。それからズーと増えてきましたが、3年前の57382人から約450人のペースで減少に転じています。

 日本全国を見ますと、日本の人口は減少しています。大都市を除き、全ての地方都市は減少していますし、これから先も減少すると思われます。その中でも、各自治体の努力により、そこだけ増えるというところも、もちろんあるでしょうが、それは例外です。例外を目指しているところが圧倒的に多いと思いますが、減るのであれば、減るという状況の中で,それを前提として、どうするのかも考えるべきだと思うのです。人口や、地域経済力増やす努力をすることと、減っていく現実に対することを分けて,両方考えるべきだと思うのです。

 なぜ、人口を増やすのですか?
人口が増えると、経済が活性化し、そうすれば、市民が『豊か』になる、という論理だと思います。ちょうど、企業が売り上げを伸ばそうとすることに似ています。しかし、人口が増えないという現実、売り上げが伸びないという現実の中で、どうするのか考えなければなりません。現実を直視し,その中でどうするか考えなければなりません。そうすることが、市民にとっても意味のあることで,いつまでも、人口は増やします,増やしますといっているのではだめだと思うのです。

 須坂は、すでに、14年間減り続けています。(岡谷市は既に32年間減り続けています。)その状況の中で、増やしますという言葉は、現実逃避です。茅野市も未だに、総合計画の人口は増加することになっています。この一つの手立てとして田舎暮らしがあります。小さくなる地域の中で,どう暮らすのか、どう運営するのかそれを考えることによって、かえって「豊か」になる部分もあるでしょう。人口が増えなくても、「豊か」であれば,それでもいいのしょう。

 「豊か」ということも、何なのか考えなければなりませんが、これは少し哲学的なったり、生き甲斐論的になってくるかもしれません。山が見えて、水かうまくて、空気がうまくて、仲間がいて、それは都会では,ものすごく贅沢な「豊か」なことかもしれません。そこまでは言いませんが、右上がりの視点からそろそろ変えてもいい時期かと思っています。そうした社会の到来を覚悟し,経済や心の準備をしてもらうのもリーダーの役割ではないでしょうか?


平成25年2月19日記